MCSについて
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最大共通部分構造(Maximum Common Substructure/Subgraph;MCS)は、二つの分子内の原子の一対一の対応付けを求めるために、最もよく用いられる考え方です。共通部分構造とは、二つの分子に共通して現れる原子タイプと結合関係は同じ部分構造のことであり、MCSとは、原子数あるいは結合数が最大の共通部分構造を意味します。これまでに、異なる条件により様々なタイプのMCSが提案されています。本稿では、それらの中から、連結MCS(C-MCS)、距離拘束付き非連結MCS(TD-MCS)を説明します。また、最初に、MCSと関連する、同型構造と部分構造についても説明します。
- 同型: 分子内のすべての原子が対応付けられ、対応する原子のタイプと結合関係が同一である。
- 部分構造:分子Aは分子Bの一部であり、 対応する部分構造においては、対応する原子のタイプと結合関係が同一である。通常、小さいほうの分子(Molecule A)をクエリ(問い合わせ)分子として用いる。
- 連結MCS(C-MCS;Connected MCS): 同じ原子タイプと結合関係を持った最大の共通部分構造であり、その部分構造は連結でなければならない。つまり、対応付けた部分構造が一つの連結した島(成分)に属していなければならない。
- 距離拘束付き非連結MCS(TD-MCS;Topologically constrained disconnected MCS):同じ原子タイプと結合関係を持った最大の共通部分構造であり、その部分構造は連結でなくてもよいが、対応する原子対のトポロジー距離の差がどれもtheta以下でなければならない。トポロジー距離とは、二つの原子間の最短経路上の結合数である。
- TD-MCS(theta=0): 対応する原子ペアのトポロジー距離が同一。
- TD-MCS(theta=1): 対応する原子ペアのトポロジー距離の差が1以下。
- CMCSとTDMCSの図において、 Molecule A としてダコミチニブ(D09883), 分子Bとして ゲフィチニブ(D01977)を用いました。
- 参考文献 :
Kawabata T. Build-up algorithm for atomic correspondence between chemical structures. J.Chem.Info.Model., 2011,51, 1775-1787.
LastModified: 2018/09/12